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「みんなちがって、みんないい。」-金子みすず的なおはなし

トレーニング生のA.Tです。

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」事件から1年になりますね。衝撃的な事件だったし、
「障害者はいらない」という加害者の言葉に傷ついた人も多かったと思います。

「障害者」という言葉の重さ。闘病生活が辛いのはもちろん、手帳を取って「障害者」になったことは
本当に悲しかった。頭を殴られたような気持ちになりました。

被差別者の苦しみ、って感じですかね。マイノリティというのはどうしてこんなに苦しいのでしょう?
周囲の偏見や嫌悪感の強さが、マイノリティを追い詰める。

小学校の頃、同級生O君がいわゆる「オカマ」ちゃんでした。11歳にして、心は完全な女の子。
今でこそ、セクシャルマイノリティへの理解が広がっていますが、30年前の彼は当然、男子からボコボコにされました。

「気持ち悪いんだよ!オカマ!!」

差別の気持ちがあまりなかった私からすると、これはちょっと「?」でした。
「オカマ」な彼に向かって、そのまま「オカマ」といじめるセンスのなさ…。
だって、O君は心が女の子なんだからしかたないじゃない。O君はO君だよね、と思っていた私。

人はそれぞれ自然な姿だし、心も身体も形はバラバラ。違ってあたりまえ。
他に好きな食べ物や、音楽や、子供の頃の思い出や…共有できることはゴマンとあるのに、
形の違いでお互いが避け合う。相手を攻撃する。

それはよく知らないものを警戒し、嫌悪し、攻撃する。あるいは危険回避のため関わらない、という人間の本能。

では、障害者自身はどうでしょうか?

「どうせ解ってくれないんでしょ?」「あなたたちとは違うから」という卑屈な気持ちやら、変な特権意識やらで
自分から「普通の人たち」を遠避ける。そんなことありませんか?
私にはあります。このしょうもない気持ち。これではお互い解り合えない。一生。

以前、この不毛な壁に小さな小さな風穴を空ける出来事がありました。
半年近くお世話になった実習先で知り合った社員の方と飲みに行く機会がありまして。お酒が入って、話も弾んで、
お互い気持ちに隙ができたころ…

その人が私に「あなたはすべて病気のせいにし過ぎ。どんな人生でも、最後は自分次第だよ」的なことを言ったのです。
色んなことに尻込みしていた私を励まそうとして、思い切って言ってくれたようなのですが。

ムカッときた私は「あなたに何が解るの?経験していない人には解らない。こんなに苦しんで生きてきたのに、簡単に言わないでくださいよ」
的なことを返しました。

でも、その人は「経験してないから解らないのは仕方ないでしょ?それでも私はやっぱり人生自分次第だと思うよ」とまた言い返しました。
そこから病気や障害についての話になりましたが、彼女はあまりピンときていない様子でした。

…機嫌が悪くなった私は、最後の一杯を飲み干し、お金を渡して先にお店を出ました。
それでも帰り道、彼女はまたしつこく「人生自分次第」論をぶつけてきました。

今振り返ってみると、しかしながら、このやり取りができたことは実に素晴らしいことでした。
こうも形の違う人間同士が解りあうために喧嘩できたこと…。

障害の有無に関わらず、これは「魂」のふれあいです。

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